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新・ATX電源の選び方 -安定性・長寿命・高効率 (第三回)

ATX電源との比較
はじめに
前回までの技術解説記事では、
計測によって 適切な定格容量を割り出すことが大切と結論づけました。

では、実際に必要な定格容量はどの程度でしょうか?

まず、最新のIntel Core i3 - 530とH55チップセット、HDD、DDR3 RAMのシステムを例に、消費電力データを分析してみましょう。


AC側の電力測定
一番簡単な電力測定はAC100VのコンセントとATX電源の間に電力計を取り付ける方法です。 (家庭用の市販品としてはワットチェッカーなどが有名です。) この方法である程度の傾向はつかむことはできますので、後半のより精密なデータと比較すると参考になるでしょう。

この方法では、必要な電源定格を決定するための正確な情報は得られません。 たとえば100Vの消費電力の測定結果が85.7Wであったとしても、85Wでの効率70%の電源を使用していた場合、実際に出力されている電力は60Wに過ぎません。 (効率80%をうたっていても、全領域で80%の効率を有しているわけではないので注意が必要です。) つまり過剰に見積もる傾向があるわけです。 また、ハードディスクのヘッド移動などに伴う瞬間的な電力ピーク(3.5インチで10W強、2.5インチでは数W)も測定できません。

無操作(アイドル電力) idle時の電力
Prime95実行中のピーク値 Prime95の電力
3DMark06実行中のピーク値 3DMark06の電力

65.2Wが最大の消費電力でした。起動時にも一瞬だけ最大65Wぐらいの数字が見えました。 この電源(当社u-PUNIT100 UP75SET)は、十数Wから75Wまでの広い範囲で約85%の効率を有していますから、

65.2 x 0.85 = 55.42W

55.4Wが実際に消費されている電力です。但し、瞬間的なピークがどの程度か判断できませんので、10W程度の余裕を考える必要があります。

直流(DC)側の電力測定
実際に必要とされる定格は、「ATXコネクタからどれだけのDC電力を供給できるか」です。 ATX電源が出力する電力は、12V,5V,3.3V,-12V,-5V(-5Vは実質的に廃止されています),5Vスタンバイの6種類もあります。

ここでは簡単のために全体の電力をまとめて掲載しましたが、実際は12V,5V,3.3V,-12Vの電流が全て定格値以下である必要があります。 たとえば公称300Wの電源では12V出力は15A定格でした。 この電源は、最近の12V系メインの負荷バランスでは、ほぼ12Vx15A=180W相当で、 5V,3.3Vで余っている120W分の供給能力は役に立ちません。定格○○Wという表示がアテにならない原因の一つがこれです。

測定に用いた高効率ファンレスATX電源、u-PUNIT100は5Vや3.3Vなど全ての電力を12Vから生成しており、 変換基板上の電力損失も定格を決定する上では無視できる程度ですので、 UP75SETのオープンフレーム電源とu-PUNIT100変換基板本体の間の12Vケーブルを流れる電流を測定するだけで全体の定格の余裕度を測定できます。

ここでは代表例としてPrime95実行時の12Vの消費電力グラフを下に示します。

(3.3Vと5Vのグラフは、製品情報u-PUNIT100→検証済みシステムをご覧ください) システム全体の電力グラフ
この電源u-PUNIT100 UP75SETの定格出力100%は75Wです。数十分の一秒の間、瞬間的に63W程度の電力を消費していますね。 7.6W程度、ACの消費電力から計算した数字よりも大きいようです。 (なお、数十分の一秒程度の間ならば本来の定格よりも大きい「短時間定格」が適用できますのでもう少し余裕があります。)

出力85%は定格範囲内ですので、当然ながらu-PUNIT100の発熱は設計限界のはるか下(部品温度40℃程度)です。 (定格まで60℃から80℃も余裕があると、一般的な計算式では正確な寿命予測ができないぐらいです。)

当然ながら、出力85%は定格範囲内ですので電圧変動もほとんどありません。

Core i3 530に必要な電源定格
結論としては、63Wで十分です。 63Wに達するのは一瞬なので、当社の60WACアダプタセットでも動作してしまうでしょう。 但し、ACアダプタは構造上も熱がこもりやすくオープンフレーム電源ほど連続負荷には強くありません。 定格100%で連続使用できるのはオープンフレーム電源です。 そういう意味で、75W版が適切です。 また100W版であれば、40W弱の範囲でVGAカードやHDDを増設できます。

VGAカードの電力データは十分ではありません。 しかし、50mmx50mmx20mm(5℃/W)程度の小振りなヒートシンクしかついていないファンレスVGAカードであれば 周囲温度30℃のとき消費電力20Wでも130℃以上に達して壊れてしまうはずです。逆に、壊れないということは20W以下の消費電力です。 設計者が物理法則を理解していて、かつ経営者が無理な設計を強要していなければ、ですが。

DirectX 11世代のファンレスVGAカードでいえばGeForce GT 430やRadeon HD 5570が12V4A程度と予想されます。

結局、今のシステムではローエンドで75W、プラスアルファで100Wが適切な場合が多いのです。
Pentium4を最後に電源の定格容量は必要とされなくなり、代わりに負荷バランスや負荷の急変動への対応が求められています。

もうひとつ重要なことは、過電流保護回路の設計思想です。従来よくあったような、連続使用150Wで短寿命になるのに公称スペック300Wまで起動してしまうようなパソコン業界基準では、小容量電源は危険です。 たとえば、120Wでも十分な寿命が確保できる回路に105Wで作動する保護回路を設け、公称100Wとするような産業用基準で設計された小容量電源なら安心です。

将来必要になる電源定格
100%アテになる情報ではありませんが、Intelの次世代CPUであるSandy BridgeのTDPがleakされています。

それによればCore i3 2120,2100, Core i5 - 2500S,2400S, Core i7 2600SがTDP65W、最上位のi7-2600K(倍率フリー)でも95Wと、 現行よりも大幅に省電力化されるようです。 (TDPは実消費電力とは直接対応しませんが、CPUビジネスの方向を示しています。) その点で、TDP 45WのCore i5 2500Tと、35W級のi3 2390Tおよび2100Tは要注目です。

一方のAMDはSempron 150や、Athlon II X2 260u(1.8GHz dual-core/TDP 25W)のような 省電力CPUを着々と充実させており、CPUの完全ファンレス化が特別でなくなる日も近いかもしれません。

CPUの省電力化

次世代CPUはGPUやノースブリッジ機能のような電力消費が大きい部分を統合しているため、 電力負荷のバランスは今後も12V系への集中が進みます。 そしてパワーゲーティング・Deep Power Down C6等省電力技術が進むと負荷時とアイドル時の消費電力差が大きくなるため、 設計の悪い電源では変動に追従できずに相性問題が起きやすくなります。

結論として、必要な定格容量は100W未満になるかわりに、3.3V,5V系のいずれかが極端な軽負荷状態であっても 12V系の負荷変動に強く、安定動作する電源が必要となるでしょう。(特に20Wを切るような領域での安定性が試験済みであるか注意が必要です。)

システム構成
CPUクーラーはリテールで、回転数はMBのデフォルト設定です。HTTをOFF等のBIOS設定変更もしていません。 ASUSが提供している省電力ユーティリティーはインストールしていません。
項目 仕様 詳細
CPU Intel Core i3 530TDP=73W VGA内蔵
HDDMomentus 5400.6 250GBSeagete
MBASUS P7H55-MIntel H55 チップセット
RAMDDR3-1333 1GB PC3-10666 CL9-9-9-24 1.5-1.6V版
電源u-PUNIT100 UP75SET
ATX電源との比較
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OSはWindows XP 32bitです。

なお、Intel Core i3 530のTDPは73Wです。このTDPは"Thermal Design Power"(熱設計電力)の略で、 IntelがPCメーカーに対して放熱設計の指標として示している数値なので、 商品のセグメントごとに同じ数字を示しています。 そうでないとPCメーカーは新CPUモデルを発売するたびに熱設計を検証しなおさなければなりません。 このため、Pentium Processor G6950も、Core i3-530もCore i5-680も、全てTDP=73Wなのです。 実際の消費電力を比較する上で全く参考にならないわけではありませんが、基本的にビジネス上の数字と考えた方が無難です。

おまけ:CPUファンの消費電力
この測定に用いた電力計は高分解能の特殊仕様品です。(高感度な分、ワットチェッカーなどの家庭用電力計よりもセンサ部がデリケートです。) 試しにIntel純正CPUファンのケーブルを引っこ抜いて変化をみてみました。

引っこ抜く前
idle時の電力
ケーブルを外した状態
ファンのケーブルを抜いた写真
ファンOFF時の電力
0.471W差です。 HDDでアイドル電力25W台なら、MBを選んでHDDをSSDに変更すると20W切りが可能かもしれません。

電力は目に見えませんが、計ってみれば定格150Wですら時代遅れが目前。
定格75Wから100Wの小容量ATX電源新時代が始まっていました。

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